TOPIX4100予想でも積立を変えない理由|見通しとの距離感

TOPIX4100予想でも積立を変えない理由|見通しとの距離感 資産形成・インデックス投資

朝、コーヒーを淹れながらスマホでニュースを眺めていたら、「日本株の見通し、上方修正」という見出しが目に飛び込んできた。三井住友DSアセットマネジメントの市川さんのレポートだ。2026年末のTOPIXは4,100ポイント、日経平均は61,500円。数字だけ見ると、けっこう強気だ。

正直、読み物としてはめちゃくちゃ面白かった。なぜ上方修正したのか、その因果がちゃんと数字で書いてある。感情論じゃない。こういうプロの分析を無料で読めるんだから、いい時代になったなと思う。

でも、読み終わって僕がやったことは何かというと——何もしなかった。ポートフォリオは1ミリも動かさなかった。いつも通り、S&P500を淡々と積むだけ。今日はその「読むのはいいけど動かさない」という距離感の話を、僕が15万円払って学んだ体験と一緒に書いていきたい。

市川レポートは何を言っているのか

まず、元記事の要点を整理しておく。難しい言葉は僕なりに噛み砕く。

ポイントは3つだ。1つ目、三井住友DSアセットは2026年末のTOPIXを4,100ポイント、日経平均を61,500円に上方修正した。上方修正というのは「前より強気に見直した」という意味だ。理由は、想定より早く行われた衆院選で自民党が歴史的大勝し、高市政権の基盤が安定して政策の実現性が高まったから、と説明されている。

2つ目、日本株を押し上げてきた「物価の上昇」と「賃金の上昇」は今年も続くと見ている。2026年の春闘の平均賃上げ率は5.0%を見込む、という強気な数字も出ている。さらに、東証が企業に「株価を意識した経営」を求めた流れで、企業がお金を成長投資に回してROE(自分のお金でどれだけ稼いだかの効率)が改善する、という話。

3つ目、企業の利益は来年度に大きく伸びると予想している。AI向けの半導体やデータセンターの需要増などで、2026年度は経常利益+13.2%、純利益+15.0%と2ケタの増益を見込む。ただしレポート自身が、ここから先は高市政権の財政運営やAI相場が続くかどうか、米国経済の行方などに「慎重な見極めが必要」と釘を刺している(出典:三井住友DSアセットマネジメント 市川レポート 2026年2月20日)。

ここで僕が一番大事だと思ったのは、本文に書かれた「弊社の予想を上回る歴史的大勝」という一文だ。選挙の結果は、プロですら読めていなかった。つまり「見通しの前提そのもの」が予想外だったわけだ。これ、後で効いてくる話なので覚えておいてほしい。

「予想で動く快感」で、僕は15万円溶かした

結論から言うと、僕はこの手の強気レポートを読んでも売買はしない。理由は、過去にそれで痛い目を見ているからだ。

コロナ禍のあと、投資を始めて少し慣れてきた頃、僕はFXの自動売買に手を出した。「これから相場はこう動くはず」というロジックに賭ける仕組みだ。当時の僕の判断根拠は、「バックテスト(過去データで検証した成績)がきれいな右肩上がりだったから」。過去にこれだけ勝っているなら未来もいけるだろう、と思い込んでいた。結果、じわじわ削られて最終的に15万円が消えた。

あのとき気づいたのは、僕がハマっていたのは利益そのものより「未来を当てる快感」だったということだ。ロジックが美しく見えるほど、人は『今回はいける』と思ってしまう。市川さんのレポートも論理は美しい。でも、美しいロジックと、相場が実際にその通り動くかは、まったく別の話なんだ。しかも今回は当のレポートが「選挙結果は予想を上回った=前提が外れていた」と認めている。前提が動くものの上に立った予想を、どうやって信じきればいいんだろう、と僕は思ってしまう。

もちろん、TOPIX4,100は当たるかもしれない。でも外れるかもしれない。当たっても外れても、僕の行動が変わらないなら、予想に賭ける意味はない。これがFXの失敗から辿り着いた僕の答えだ。

僕の場合

今回のレポートを読んだあと、僕が実際にやったのは「へえ、賃上げ5%を見込んでるのか」とメモアプリに一行書いただけ。買い増しも売却もゼロ。むしろ強気ニュースが増えると、市場が楽観に傾いているサインとして少しだけ警戒する。ただし「じゃあ売ろう」とも動かない。売るタイミングを計った瞬間、それはFXで負けた頃の自分に逆戻りだと分かっているからだ。同じ日、僕がやった投資行動は「いつもの自動積立が予定通り実行されているかを1分だけ確認した」こと。それだけ。

この考え方は選挙や日経平均の目標株価が出るたびに書いてきた。過去記事の日経平均6万円予想でもNISA積立を変えない理由選挙で株価は動く?NISA長期投資で動じない理由でも同じ話をしているけれど、切り口を変えても結論は変わらない。だからこそ本物なんだと思っている。

予想と付き合う3つの線引き

じゃあ、こういう見通しレポートとどう付き合えばいいのか。僕がやっている線引きを3つに整理してみる。明日からそのまま真似できるはずだ。

1つ目、「知る材料」と「動く理由」を分ける。レポートは「今、日本経済で何が起きているか」を知る材料としては最高だ。賃上げ、東証の要請、AI需要——世の中の大きな流れを掴むのに役立つ。でもそれは知識であって、売買のスイッチではない。読んで賢くなる。それでいい。「上方修正されたから買い増す」まで行くと危ない。

2つ目、行動は自分のルールに固定する。僕のルールは「毎月決めた額をS&P500に自動で積む」。ニュースがどうであれ、この一点は動かさない。ルールを先に決めておくと、感情が揺れても手が勝手に動かない。逆に言うと、ルールを決めていない人ほど、こういう強気ニュースに背中を押されて一点張りしがちだ。

3つ目、下振れも一緒に想像しておく。ここは大事なので正直に書く。仮に毎月5万円を年利4%(強気予想ではなく控えめに置いた数字)で20年積んだ場合、元本1,200万円が約1,834万円になる計算だ。増えた分はざっくり634万円。

毎月5万円を年利4%(控えめ想定)で20年積み立てた場合の目安。元本1,200万円が約1,834万円に。下落の年もあるため最終額は約束ではなく目安。
毎月5万円を年利4%(控えめ想定)で20年積み立てた場合の目安。元本1,200万円が約1,834万円に。下落の年もあるため最終額は約束ではなく目安。

ただし、これはあくまで平均が年4%で推移した「もし」の話。実際の相場は途中で2〜3割下がる年も普通にある。年利は毎年きれいに4%が乗るわけではなく、マイナスの年をどう耐えるかがすべてだ。だから僕はシミュレーションの最終額を「約束」ではなく「続けた場合の目安」としか見ていない。上振れも下振れもあると分かった上で、それでも淡々と続けられる金額に設定する——ここが現実的なコツだ。なお、この方針が万人向けとは思っていない。相場を読んで機動的に動くのが得意で、それを本業にできるほど時間と検証を注げる人にとっては、僕のやり方は退屈で機会損失に見えるだろう。あくまで「予想で動くと自分は負ける」と自覚した人向けの守り方だ。

今日からできること

  • 見通しレポートを1本読んだら、売買はせず「学んだこと」を1行だけメモする(所要3分)
  • 自分の積立ルールを1つだけ紙に書く。例:「毎月◯日に◯万円、ニュースがあっても変えない」
  • 今の積立額が下落局面でも続けられる金額か見直す。不安なら月1,000円下げてでも「止めない設定」を優先する

まとめ

市川レポートは面白い。数字で語り、因果がはっきりしていて、日本経済の今を知るには最高の教材だと思う。でも僕にとって、それは知識のための読み物であって、行動を変える号令ではない。TOPIX4,100が当たっても外れても、僕の積立は変わらないからだ。危ないのは「上方修正だ、今のうちに日本株へ集中だ」と熱くなること。予想は予想として楽しみ、行動は自分のルールに固定する。この線引きができるかどうかが、退場せずに長く相場に居続けられるかの分かれ道だと、15万円払って学んだ僕は思っている。予想を追いかけるより、自分が続けられる仕組みを守るほうが、地味だけど遠くまで行ける。なお、本記事は特定の商品や銘柄を推奨するものではなく、投資は最終的に自己責任である点だけは書き添えておく。

筆者のひとこと

正直に言うと、強気レポートを読むとちょっとだけ胸が高鳴る自分もまだいる。「日経平均6万円かあ」って。でもその高鳴りこそ、昔FXで溶かした頃の感情だと気づいてからは、ニュースを閉じてコーヒーを飲み直すことにしている。動きたくなったら、動かない。僕の投資は、だいたいそれで足りている。

この記事を書いた人

しごととお金のラボ 管理人
28歳の組み込みエンジニア。仕送りゼロ・食費月1万円の学生時代からつみたてNISAを始め、資産1,100万円まで積み上げてきました。仮想通貨で10万円全損した失敗も隠さず書いています。派手な儲け話ではなく、「働き続ける不安から逃げるために始めた投資」のリアルを発信中です。
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