高配当でオルカン積立は遠回り?NISA民の本音

高配当でオルカン積立は遠回り?NISA民の本音 個別株・高配当

NISAで高配当株を買って、その配当金でオルカンを積み立てる」——この戦略、SNSでもよく見かけるし、雑誌の特集でも取り上げられている。読者の方から「これって効率いいんですか?やったほうがいいですか?」という質問が来そうなテーマだ。配当が入ってくる手応えがあって、しかもそれをインデックスに回す。なんだか賢い二段構えに見える。でも僕は、この記事を読み終わったあとの第一印象が「うーん、僕はやらないな」だった。否定したいわけじゃない。むしろロジックとしてはよくできてると思う。ただ、自分の性格と目的に照らすと、ちょっと遠回りに見えたんだよね。今日はその「なぜ遠回りに見えたのか」を、僕が最初に買った高配当株の話も交えて、正直に書いていきたい。

配当でオルカンは合理的、でも遠回り

まず元記事の話から。ダイヤモンド・ザイ2026年6月号の特集で、NISAで儲けている読者5人の活用術が紹介されていた(ザイ・オンライン)。中でも目立っていたのが「累進配当株」や「DOE方針を掲げる高利回り株」に注目する戦略だ。減配していない銘柄を過去の配当推移から選ぶ、というやり方で、NISAで500万円を投資して900万円まで増やした投資家も紹介されていた。

「高配当株の配当金でオルカンを積み立てる」という発想自体は、僕もよくできてると思う。キャッシュフローが目に見える形で入ってくるから、モチベーションが続きやすい。数字が動くのが見えるのは、投資を続けるうえでめちゃくちゃ大事なんだよね。ここは素直に共感した。「累進配当(減配しない方針を掲げる企業を選ぶ)」というリスク管理の発想も、勉強になった。

ただ、僕の答えはやっぱり「元本と時間」に落ち着く。高配当株を経由してオルカンを買うくらいなら、最初からオルカンなりS&P500に入金したほうが早くない?というのが素直な感想だ。配当は、受け取るたびに「一回利益を確定している」状態でもある。それを再投資に回すなら、最初から配当を出さずに成長を株価に織り込んでいくインデックスのほうが、複利の効きは素直だと思っている。ワンクッション挟む分だけ、手間も判断も増える。合理的だけど、遠回り——というのが僕の結論だ。

僕が最初に買ったのはコカ・コーラだった

とはいえ、この記事に出てくる投資家の気持ちは、痛いほどわかる。というのも、僕自身が米国個別株を200万円分持っていて、その最初の一銘柄がコカ・コーラだったからだ。まさに「高配当・累進配当」の代表みたいな銘柄だよね。

買ったのはコロナ禍。給付金10万円が振り込まれたタイミングだった。当時の僕は「わかりやすくて、潰れなさそうで、配当がちゃんと入る」という安心感でコカ・コーラを選んだ。株の知識なんてほとんどなかったけど、「知ってる会社が、定期的にお金をくれる」という体験は、投資を始めたばかりの自分にとって強烈な安心材料だった。初めて配当が口座に入ったときは、金額こそ地味だったけど「本当に入ってくるんだ」と妙に感動したのを覚えている。

だから、高配当株を「投資の入り口」にするのは全然アリだと思っている。配当が入ってくる体験は、投資を続ける原体験になるから。今回の記事に出てくる5人の投資家も、きっとその心地よさを起点に工夫を重ねてきたんだろうな、と想像できる。

僕の場合

コカ・コーラの配当利回りは購入時でおおよそ年3%前後。仮に200万円を全部コカ・コーラのような高配当株に置いて、税引き後で年2.4%ほどの配当が入るとしても、年間約4.8万円。一方で僕のNISA主軸はS&P500で、こちらは配当をあまり出さない代わりに値上がりで積み上がってきた。実際、僕のNISAは元本ベースの積立を続けた結果、いまは700万円まで育っている。「配当4.8万円の心地よさ」と「淡々と積む地味さ」を天秤にかけて、僕は後者を主軸に選んだ、というだけの話だ。個別株200万円は、あくまで“配当という体験を残しておくサブ枠”として置いている。

ここで大事なのは、僕は高配当株を「間違い」だと言ってるわけじゃない、ということ。僕にとってコカ・コーラは、投資を続ける気持ちを支えてくれた大切な一銘柄だ。ただ、そこから資産全体をどう組むかを考えたとき、「主軸は元本を淡々と積むインデックス、高配当は味わうためのサブ」という配分に落ち着いた。配当の効率性より、自分が迷わず続けられる形を優先した結果だと思っている。この配分の考え方は、以前NISAで高配当株は買い?インデックス民の本音でも書いたので、配当の距離感を深掘りしたい人はそちらもどうぞ。

真似する前に「配分」を先に決める

じゃあ明日から何をすればいいか。僕がおすすめしたいのは、記事の戦略をそのまま真似る前に「自分の入金力の何割を、どこに置くか」を先に決めることだ。ここがブレると、結局あれこれ手を出して疲れる。高配当も、インデックスも、両方やること自体は悪くない。問題は「気分で配分がフラフラすること」なんだよね。

参考までに、僕の主軸であるインデックス積立を数字で見てみる。たとえば毎月3万円を年利5%で20年積み立てると、元本720万円に対して最終的に約1,233万円。利益はおよそ513万円になる計算だ。

毎月3万円を年利5%で20年積み立てた場合の推移(元本720万円→最終約1,233万円)
毎月3万円を年利5%で20年積み立てた場合の推移(元本720万円→最終約1,233万円)

ただし、これは平均的なシナリオの話。相場は当然、下振れることもある。年利が2%しか出なかった場合、同じ毎月3万円×20年でも最終額は約885万円まで下がる。元本720万円に対して利益は165万円ほど。「20年やっても2%かよ」と感じる局面が、途中に何年も続く可能性は十分にある。実際、僕もコロナショックの初期に含み損を見て一瞬ヒヤッとしたけど、あのとき積立を止めなかったのが、その後の700万円につながっている。下振れ局面で何もしない(止めない・売らない)——これができるかどうかが、平均シナリオを取りに行けるかの分かれ目だと思っている。

高配当戦略の魅力である「配当という手応え」は、この下振れの不安を和らげてくれる効果がある。株価が沈んでいても配当は入ってくるから、続けやすい。だから僕は、配当を全否定するんじゃなく「続けるための燃料」として少しだけ持っておく、という使い方に落ち着いた。主軸はインデックスで固定し、高配当はサブ。この順番を先に決めておくのが、僕の答えだ。高配当株の出口の考え方は高配当4%株は買い?インデックス民が考える出口戦略にまとめている。

今日からできること

  • 紙かメモアプリに「インデックス◯割/高配当◯割/現金◯割」と、いまの自分の配分を数字で書き出す(5分)
  • 証券口座で、主軸にする投信の積立設定を毎月◯円で“自動”にする(クレカ積立にすると入金忘れゼロ・所要10分)
  • 高配当株を試すなら、まず月の投資額の2〜3割まで、と上限金額をルール化してから買う

結局のところ、戦略を否定はしない。でも真似する前に「自分はなぜ投資してるのか」を一回確認したほうがいい。僕の場合、その答えは「働き続けることへの逃げ道を作る」だから、配当の心地よさより、淡々と元本を積む地味さを選ぶ。それだけの話だ。

筆者のひとこと

コカ・コーラの配当が初めて入ったときの、あの地味な感動はいまでも覚えている。数字は小さかったけど、投資が「自分ごと」になった瞬間だった。だから高配当を選ぶ人を、僕は軽く見たりしない。ただ、感動を燃料にするのと、資産の主軸にするのは別の話。燃料は少しでいい。あなたの主軸は、あなたの目的から決めればいいと思う。

※本記事は個人の体験と考えに基づくものであり、特定の銘柄・商品を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。

この記事を書いた人

しごととお金のラボ 管理人
28歳の組み込みエンジニア。仕送りゼロ・食費月1万円の学生時代からつみたてNISAを始め、資産1,100万円まで積み上げてきました。仮想通貨で10万円全損した失敗も隠さず書いています。派手な儲け話ではなく、「働き続ける不安から逃げるために始めた投資」のリアルを発信中です。
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