新NISA360本は多すぎ?選ぶのは数本でいい

新NISA360本は多すぎ?選ぶのは数本でいい NISA・iDeCo

NISAのつみたて枠、対象商品が360本もあるらしいけど、全部調べないといけないの?」——これ、投資を始めようとする人から一番よく聞く不安かもしれない。実際、対象商品を全部並べた一覧記事を開くと、インデックス型、アクティブ型、ETF、信託報酬、騰落率……と項目がずらっと並んでいて、「で、結局どれを買えばいいの?」って固まってしまう。昔の僕もまったく同じで、情報が多いほど正解に近づける気がしていた。でも今の結論を先に言うと、真剣に検討する必要があるのは、この長いリストのうちほんの数本だけだと思っている。今日はその理由を、僕の失敗も交えて書いていきたい。

360本あっても検討するのは数本

まず事実の確認から。ザイ・オンラインの一覧記事(2026年7月4日時点)によると、新NISAの「つみたて投資枠」の対象商品は全部で360本。内訳はインデックス型投資信託が286本、アクティブ型投資信託が65本、ETFが9本となっている。これらは金融庁が「長期・積立・分散」に向くと認めた条件を満たした商品だけが選ばれている、という前提がある。(参考: 金融庁 つみたて投資枠対象商品一覧

ここで大事なのは、「360本の中から一番いいものを探す」という発想を、いったん手放していいということ。信託報酬(=運用会社に毎年払い続けるコスト)の列をざーっと上から見ていくと、S&P500か全世界株(オルカン)系の低コストインデックスが、コストでも実績でも頭一つ抜けているのがすぐわかる。逆にアクティブ型が並んでいる欄を見ると、信託報酬が1%を超えているものも珍しくない。長期で見ると、この差は地味だけど確実に効いてくる。

つまり、360本という数字は「選択肢の多さ」であって「勉強すべき量」ではない。選択肢が多いこと自体は自由でいいことだけど、「選択肢が多い=親切」とは限らない。知識のない状態でこのリストを渡されると、騰落率(=過去にどれくらい値上がり・値下がりしたか)が一時的に高いものに目がいってしまう。ここに、僕が一番危ないと感じるポイントがある。

騰落率の数字に飛びついた過去の僕

自分の場合、この「高い数字に目を奪われる」危うさを、お金を溶かして体で覚えている。具体的には、仮想通貨のIPO案件に飛びついて10万円を全損したことがある。あのときの自分を今振り返ると、見ていたのは「どれくらい上がりそうか」という派手なリターンの部分だけで、コストの仕組みも下げるときのリスクも、何も理解していなかった。

騰落率が高いというのは、裏を返せば下げるときも派手だということ。年間で大きく上がった商品は、翌年に同じくらい大きく下がる可能性を常に抱えている。当時の僕は、その「上がった側の数字」しか目に入っていなかった。だから今、商品比較の記事を読むときは、自分ルールとしてまず信託報酬の列から見るようにしている。派手な騰落率より、確実に引かれ続けるコストのほうが、10年20年というスパンでは効いてくるからだ。

じゃあ実際に僕がどうしているかというと、大学院1年のときに月1万円のつみたてNISAでS&P500から始めて、今もそこが主軸になっている。NISA口座の残高は今700万円まで来たけれど、この間に銘柄を増やしたことはほとんどない。360本を全部理解しようとするより、低コストのインデックスを1〜2本に絞って、あとは毎月の入金額(=入金力)を上げることに全振りしたほうが、20代のうちはよっぽど効くと感じている。積立元本こそ正義、というのが失敗を経てたどり着いた僕の答えだ。

もう少し正直に書くと、僕がインデックスに落ち着いたのは「頭がいいから」ではなく、「派手なものに手を出すと自分は判断を誤る」と身をもって知ったからだ。10万円を溶かした経験は痛かったけれど、あれがなかったら、この360本のリストを前にして、たぶんまた騰落率ランキングの上の方を触っていたと思う。同じ轍を踏まないための考え方は投資で失敗しない3原則|10万円全損から学んだ本音のほうで詳しく書いているので、興味があれば。

僕の場合

商品比較の記事を開いたら、まず騰落率ランキングではなく信託報酬の列を上から眺める、という順番を固定している。仮想通貨IPOで10万円を溶かしたとき、僕が見ていたのは「上がりそうな数字」だけだった。この順番を逆にするだけで、少なくとも当時の自分がやった「派手な数字に飛びつく」ルートは踏まなくて済む。

360本から数本に絞る手順

ここからは、明日から使える具体的な絞り込みの手順に落とし込みたい。難しいことは一切いらない。

まず、証券会社のつみたて商品検索画面で、並び替えを「信託報酬の低い順」にする。これだけで360本が、上位の低コスト勢に自然と絞られる。次に、その上位から「S&P500に連動するもの」か「全世界株(オルカン)に連動するもの」を1本選ぶ。この2択で迷うなら、正直どちらでも大きな差はないので、米国に集中したいならS&P500、世界全体に広く分散したいならオルカン、くらいの感覚で決めていい。ここで時間をかけすぎるより、決めて積み始めるほうが結果に効く。商品選びで悩むより入金力という話はS&P500どれを選ぶ?商品より入金力が本音で数字を出して書いている。

商品が決まったら、あとは「毎月いくらを自動で積み立てるか」を設定する。ここで僕が強くおすすめしたいのが、手動で毎月ボタンを押すのではなく、証券口座とクレジットカードや銀行の自動引き落としを連携させて、勝手に積み立てられる状態にすること。感情が入る余地をなくすのが目的だ。相場が下がった月に「今月はやめとこう」と手が止まるのを防げる。

試しに数字も置いておく。仮に月3万円を年平均5%で20年間、淡々と積み立てたとする。(参考: 金融庁 資産運用シミュレーション

月3万円を年利5%で20年積み立てた場合の資産推移(金融庁 資産運用シミュレーションを参考に試算。あくまで平均的なシナリオで、実際は途中で下振れする局面もある)
月3万円を年利5%で20年積み立てた場合の資産推移(金融庁 資産運用シミュレーションを参考に試算。あくまで平均的なシナリオで、実際は途中で下振れする局面もある)

ただし、これはあくまで平均が5%で進んだ場合の話。実際の相場はまっすぐ増えないので、途中で2〜3割下がる局面は必ず来ると思っておいたほうがいい。上のケースでいえば、含み益が乗っている時期に暴落が来れば、一時的に元本割れ近くまで残高が沈むこともあり得る。僕自身、コロナ後の乱高下や直近の調整局面でも積立を止めなかったのは、この下振れを「起きるもの」として最初から織り込んでいたからだ。下がった月こそ同じ3万円で多くの口数を買えている、と考えると、むしろ止める理由がなくなる。派手さはないけれど、この地味さこそが、過去の僕みたいに10万円を溶かすルートを避ける一番現実的な道だと思っている。

今日からできること

  • 証券口座のつみたて商品検索を「信託報酬の低い順」に並び替え、上位からS&P500かオルカンを1本だけ選ぶ(所要10分)
  • 選んだ1本を、まずは月1万円でいいのでクレカ積立か銀行引き落としの自動設定にする(手動購入は選ばない)
  • 騰落率ランキングやアクティブ型の一覧は、当面ブックマークだけして触らない(今日は見ない、と決める)

結局のところ、360本という数字は「あなたが全部わかっていないと損をする」というプレッシャーではなく、「条件を満たしたものがこれだけ用意されている」という安心材料として受け取っていい。低コストのインデックスを1〜2本見つけて、あとは毎月淡々と積む。この、拍子抜けするくらいシンプルなやり方に早くたどり着けるかどうかが、20代の資産形成では一番大きな分かれ道になると、僕はリストを眺めながら改めて思った。

筆者のひとこと

正直、僕もいまだに「もっといい商品があるんじゃないか」と一覧記事を開いてしまうことがある。でも毎回、信託報酬の列を見て、そっと閉じる。派手な数字に手が伸びかけたら、10万円を溶かしたあの日を思い出す——それが僕にとっての一番のリスク管理だ。全部覚えなくていい。数本に絞って、あとは積むだけ。それでいい。

※本記事は個人の体験と考えに基づくものです。投資判断は自己責任で行ってください。

この記事を書いた人

しごととお金のラボ 管理人
28歳の組み込みエンジニア。仕送りゼロ・食費月1万円の学生時代からつみたてNISAを始め、資産1,100万円まで積み上げてきました。仮想通貨で10万円全損した失敗も隠さず書いています。派手な儲け話ではなく、「働き続ける不安から逃げるために始めた投資」のリアルを発信中です。
→ 詳しい自己紹介・コラムはこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました