転職で年収77万アップは本当?平均の罠と入金力

「平均年収アップ額77万円」。転職エージェントの記事でこの数字を見たとき、僕の頭の中で小さな警報が鳴った。いい数字だな、と思うのと同時に、「これ、誰の平均だ?」という違和感がセットで湧いてきたからだ。昔の僕なら、この77万円という数字だけを切り取って「転職すれば年収が77万増える」と早とちりしていたと思う。お金に余裕がなかった頃の僕は、都合のいい数字に飛びつく天才だった。だからこそ今日は、転職と年収アップの「相場」の話を、数字の読み方という角度から書いておきたい。年収を上げること自体は、僕みたいにFIREを目指す人間にとって最重要テーマだからこそ、入り口で判断を間違えたくないんだ。

転職を考えている20代は、たぶん一度はこう検索する。「転職 年収 どれくらい上がる」。その答えとして出てくる数字を、どう受け取ればいいのか。僕なりの読み方を共有していく。

引用記事の要点:相場は+10%、エージェント経由は+77万円

今回読んだのは、IT・Web・ゲーム業界専門の転職エージェント「ギークリー」が出している、転職と年収アップの相場をまとめた記事だ。要点を整理するとこうなる。

  • 世間一般の相場:厚生労働省の調査によると、転職で賃金が増えた人の割合は40.6%。アップ額は「前職の+10%ほど」が目安(400万円なら440万円)。
  • ギークリー経由の実績:年収が上がった人の割合は74%、平均アップ額は77万円(2025年10月時点)。
  • 年代・職種の傾向:20〜30代のアップ率が高く、エンジニアの増額幅が大きい。特に上流工程やインフラへのスライドが鍵。
  • 成功者の共通点:適切な年収交渉をしている/経験が企業のピンポイントな要件にマッチしている/希望条件を最初から絞りすぎていない。

ここで注目したいのは、記事の中にあった「年収アップを決めるのはスキルそのものだけじゃなく、評価される場所選び」という一文だ。これは本当にそうだと思う。同じスキルでも、業界や会社が違うだけで値段がまるで変わる。一般相場の+10%と、IT特化エージェント経由の+77万円という差は、まさに「どこで戦うか」の違いを表している。(参考:厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』)

ただ、ここからが大事なところ。74%や77万円という数字は、あくまで「そのエージェントを使った人」の中での平均だ。世間一般の転職者全員の話ではない。ここを混同すると、自分の期待値がズレてしまう。

僕が「平均値」を一度も信じない理由

なぜ僕がここまで平均値に慎重なのか。理由は、過去に数字の都合のいい部分だけを見て、お金を溶かした経験があるからだ。

社会人になりたての頃、僕は「年利○%」みたいな話に飛びついて、仮想通貨がらみの怪しい案件に10万円を突っ込んで全額失った。あのとき僕が見ていたのは、提示された「期待リターン」の数字だけ。その数字がどういう前提で、誰が達成して、失敗した人は何人いたのか――そういう「分母」を一切見ていなかった。お金に困っているときほど、人は冷静な判断力をごっそり奪われる。あの10万円は、僕にとって授業料として高すぎたけど、確実に教訓になった。詳しくは投資で失敗しない3原則|10万円全損から学んだ本音に書いたとおりだ。

その経験以来、僕は数字を見るとき必ず2つを確認する癖がついた。1つは「分母は何か(誰の中での話か)」、もう1つは「平均か、中央値か」だ。

平均値は、一部の大幅アップ組に強く引っ張られる。たとえば10人のうち、1人が400万円アップ、残り9人が10万円アップだったとしても、平均は約49万円になる。これだと「平均49万円アップ!」という見出しが作れてしまうけど、実際に大多数が体験したのは10万円アップだ。だから「平均77万円」と聞いたら、僕は「中央値はもっと地味なはず」と一段引いて読む。これは煽りを責めているわけじゃなくて、データの読み方として当たり前にやるべきことだと思っている。

そして、僕にとって年収を上げる意味はとても明確だ。最終目標はフルFIREで、そのために必要なのは投資に回せる入金力。年収アップは、僕の戦略の中では「投資の燃料を増やす行為」と直結している。だから転職データには人一倍興味があるし、人一倍慎重になる。このあたりの考えは転職で年収19万増より入金力|FIRE視点の本音にも詳しく書いた。年収という入口の数字より、最後に手元にいくら積み上がるかを僕は見ている。

今すぐ転職しない僕が、それでも「やっている」こと

結論から言うと、僕は今すぐ転職する気はない。今のセキュリティ系のプロジェクトで経験を積んでいる最中だし、毎日続けている英会話で将来の選択肢を広げている途中だからだ。それでも、「自分の市場価値を測るだけ」は早めにやっておきたいと思っている。これは投資の「早く始めるほど有利」という発想と同じで、情報の蓄積は早いほうが絶対にいい。

具体的に、明日から動くなら僕はこうする。転職するかどうかとは切り離して、まず「測る」ところから始めるのがおすすめだ。

  • ① 年収診断・市場価値チェックは「タダだから」やる:エージェントの年収診断は無料だ。数字で自分を客観視できるなら使う価値はある。ただし向こうの提案を鵜呑みにはしない。最終判断は自分でやる、という線引きだけは絶対に崩さない。
  • ② 提示された数字は「分母」と「中央値」で疑う:「平均◯万円アップ」を見たら、それが誰の中での話か、平均か中央値かを必ず確認する。これは無料診断サービス全般に言える話で、無料投資相談サービスは安全?診断の正しい使い方で書いた「無料の裏側を見る」感覚と同じだ。
  • ③ 交渉用に「根拠」と「最低希望額」を準備する:引用記事にもあったが、年収交渉には客観的な根拠と、ここを下回るなら受けないという最低ライン(ボトムライン)が要る。これを決めておくだけで、提示額に流されなくなる。
  • ④ 上がった分は「先に」投資へ回す仕組みを作る:年収が上がっても、生活費が膨らめば手元には残らない。僕は給料が増えたぶんは自動で積立に回るように設定している。SBI証券や楽天証券のような、クレカ積立でポイントが付くネット証券なら、入金から積立まで自動化しやすい。「手数料が安く、入金〜積立を全部自動化できるか」を選定基準にすると失敗が少ない。

特に④は大事だ。年収アップは正しい手段だけど、それ自体がゴールじゃない。増えた分をどう扱うかで、5年後の資産はまるで変わる。年収という入口の数字に満足して終わると、結局なにも積み上がらない。

まとめ:いい数字を見たときほど、分母を疑う

転職で年収アップ、相場は前職+10%、エージェント経由なら平均77万円。これは魅力的な数字だけど、74%も77万円も「そのサービスを使った人の中での話」だということを忘れちゃいけない。平均値は一部の大幅アップ組に引っ張られるから、中央値はもっと地味なはずだ。

年収を上げること自体は、入金力を増やすための正しい一手だ。でも、誰かが見せてくれた平均値は、あなたの未来の約束じゃない。市場価値を測るのはタダだから早めにやる、提示された数字は分母と中央値で疑う、増えた分は先に投資へ回す。この淡々とした積み上げのほうが、結局いちばん近道だと僕は思っている。

筆者のひとこと

正直に言うと、77万円という見出しに一瞬テンションが上がった自分がいた。10万円を溶かしたあの頃から成長したつもりでも、いい数字には今でも心が動く。でも、心が動いた瞬間こそ「分母は?」と自分に問い直す。この一手間が、貧乏学生時代の僕を救えなかった分、これから転職を考える誰かの判断を少しでも冷静にできたらいいなと思って書いた。年収は手段、目的はその先の自由だ。

※本記事は僕個人の考えと体験をまとめたものです。投資は自己責任であり、元本割れのリスクがあります。データや予想は将来の成果を保証するものではないため、最終的な判断はご自身でお願いします。

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