インフレ対策の投資|高配当株より僕が選ぶ守り方

個別株・高配当

※この記事は最初の公開後、最新の情報と僕自身の経験をもとに全面的に書き直しています(最終更新:2026年6月19日)。投稿日と本文の時点にずれがある場合がありますが、内容は更新時点のものです。

スーパーで卵を手に取って、値札を二度見した。学生のころ、僕はドラッグストアの冷凍野菜と特売の鶏肉で月1万円の食費を回していたから、物価の上下にはわりと敏感なほうだと思う。その僕の感覚でも、ここ数年の「じわじわ高くなっていく感じ」は明らかに違う。

メーカーで組み込みエンジニアをやっている28歳、資産は今だいたい1,100万円(NISA700万・米国個別株200万・現金200万)。今日は「インフレ時代に何を買えばいいのか」というテーマで、よく言われる高配当株や注目セクターの話を、僕の本音と数字で整理してみたい。結論から言うと、僕は「セクターを当てにいく前にやることがある」と考えている。

結論:インフレ対策は「現金を減らす」より「土台を固める」が先

要点:現金100%は確かにリスク。でも焦って高配当株やテーマ株に飛びつくと、土台のない家を建てることになる。

「現金が一番安全」という思い込みが危ない、というのはその通りだと思う。インフレというのは、ものの値段が上がる現象であると同時に、お金の価値が静かに減っていく現象でもある。年2%の物価上昇が続くと、200万円の現金は10年後にだいたい今の164万円ぶんの価値に目減りする。何もしていないのに、ジワジワ薄まっていくイメージだ。冷蔵庫のなかで、買ったときより味が薄くなっていく麦茶みたいなものだと思っている。

だからといって、いきなり「DX株だ」「防衛関連だ」と個別の旬な銘柄に全力で乗るのは、僕は順番が違うと思う。理由はシンプルで、土台がない状態で値動きの大きいものを持つと、暴落のときに耐えられず売ってしまうから。これは僕自身が痛い目を見て学んだことでもある。

理由:流行に飛びつく怖さを、僕は10万円で学んだ

要点:お金や将来に不安があるときほど、人は「うまい話」に弱くなる。これは精神論じゃなく、僕の実体験。

コロナ禍、給付金の10万円が振り込まれたタイミングで、僕は株式投資を本格的に始めた。最初に買ったのはコカ・コーラ。これは今でも持っている。でも、同じ時期に僕はもう一つ別のことをやらかしている。

当時よく分かっていなかった仮想通貨のIPO的な案件に、10万円を入れて、まるごと溶かした。理由を後から振り返ると、将来への不安が大きいほど「これに乗れば一発で変わるかも」という話に頭が引っ張られていた。お金に困っている人ほど変な話に飛びつく、というのを身をもって体験したわけだ。このあたりの分散の考え方は金とビットコインの明暗|僕の暗号資産10万円全損から学ぶ分散術で詳しく書いた。

「インフレに強いセクターはこれだ」という話は、それ自体は嘘ではない。でも、不安な気持ちのまま聞くと、それが「今すぐ全財産を突っ込む理由」にすり替わってしまう。ここが本当に怖いところだと思う。情報の正しさと、自分の精神状態は、分けて考えたほうがいい。

具体:高配当株と3セクターを、僕はこう値踏みしている

要点:高配当株は「心の清涼剤」になる一方で、出口を考えないと税金と機会損失で損をする。セクターは仕事で見えている景色から判断する。

高配当株は「安心料」として正しく使う

配当が定期的に入ってくる安心感は、僕もよく分かる。株価が下がっても配当が振り込まれると、ちょっと心が落ち着く。ただ、ここで冷静になりたいのは数字だ。配当には通常20.315%の税金がかかる(NISAなら非課税)。利回り3%の株を100万円分持っていても、課税口座なら手取りは年2.4万円ほど。インフレ率を引くと、思ったより増えていない、というのはよくある話だ。

僕自身、過去にFXの自動売買や仮想通貨で合わせて25万円ほど溶かした経験から、「定期的にお金が入ってくる仕組み」に弱い自覚がある。だから高配当株を買うときは、必ず出口とセットで考えるようにしている。この考え方は高配当4%株は買い?インデックス民が考える出口戦略にまとめたので、配当に惹かれている人は先に読んでほしい。

注目セクター(DX・防衛/サイバー・IP)への正直な評価

  • サイバーセキュリティ:ここは僕が一番リアルに語れる。今まさに大きなセキュリティ関連のプロジェクトに関わっているからだ。攻撃側の手口は年々巧妙になり、守る側の予算は減らしようがない。「景気が悪いからセキュリティをやめる」という会社はまずない。需要が構造的に消えにくいという意味で、説得力のある分野だと現場感覚でも思う。
  • DX(業務のデジタル化・AI導入):人手不足は僕の職場でも肌で感じる。誰もが「人が足りない」と言っている現場で、その穴をデジタルで埋める需要は本物だ。ただ、その恩恵を受ける会社が必ず株価に反映されるかは別問題。
  • IPコンテンツ(ゲーム・アニメ・漫画):日本の強みなのは間違いない。ただ、ヒット作の有無で業績が跳ねる、当たり外れの大きい世界でもある。

ここで大事なのは、「需要が伸びる=その株が上がる」ではないということ。需要が誰の目にも明らかなときには、株価にすでにその期待が織り込まれていることが多い。みんなが行列に並んでいるラーメン屋に、最後尾から並ぶようなものだ。だから僕はセクター個別株を持つにしても、資産全体のごく一部に抑えている。

シミュレーション:当てにいくより、淡々と積むほうが勝ちやすい

要点:旬の一発を当てるより、入金力×時間のほうが再現性が高い。数字で見ると差は歴然。

仮に毎月3万円を、年利5%で20年間積み立てたとする。元本は720万円。複利で増えると、ざっくり約1,233万円になる計算だ。増えたぶんの約513万円は、自分が何かを当てたからではなく、入金を続けたことと時間が稼いでくれたものだ。(※税率20.315%・利回り5%・期間20年はあくまで一例で、将来を保証するものではありません。NISA枠なら運用益は非課税です。)

一方、テーマ株で一発を狙って当たれば気持ちいいけれど、再現性はない。僕が10万円を溶かしたときも「次は当てられる」と思っていた。でも当てにいく投資は、勝った記憶だけが残って、負けた回数は忘れがちだ。だから僕の主軸はあくまでNISAのインデックス積立で、セクター株や個別株は「楽しみと勉強の枠」と割り切っている。元手ゼロの貧乏学生から1,100万円まで積み上げた具体的な道のりは食費月1万円だった僕が、28歳で1100万円貯めた話に書いた。

明日からできる3つの行動(数字つき)

要点:気合いではなく、仕組みと順番。今日できる小さな設定が、来年のインフレ耐性をつくる。

  1. 生活防衛資金を先に確保する。 目安は生活費の6か月分。月の支出が25万円なら150万円を現金で確保。これがあるだけで、暴落時に投資をパニック売りせずに済む。土台はここから。
  2. NISAで自動積立を設定する(4ステップ)。 ①ネット証券で口座開設 → ②つみたて投資枠でS&P500か全世界株を選ぶ → ③無理のない金額(最初は月1〜3万円でいい) → ④銀行口座からの自動引き落としをON。一度設定すれば、あとは感情を挟まず勝手に積み上がる。
  3. セクター個別株は「資産の10%以内ルール」を決める。 資産1,000万円なら個別株は100万円まで、と上限を先に決める。これで「全力で当てにいく」事故を構造的に防げる。

もう一歩学びたい人には、まず1冊だけ読むなら『本当の自由を手に入れる お金の大学』をすすめたい。貯める・稼ぐ・増やすの全体像が、昔の僕みたいなお金オンチでも読めるレベルで整理されている。インフレ対策は、難しい銘柄選びの前に、家計と仕組みを整えることから始まる。

筆者のひとこと

インフレも、注目セクターも、結局は「自分の不安をどう扱うか」の話だと僕は思っている。値札に驚いた夜こそ、新しいテーマ株を探すんじゃなくて、自動積立の設定が生きているか確認するくらいでちょうどいい。守りを固めた人だけが、攻めの一手を冷静に打てる。麦茶が薄まる前に、まず蓋を閉めよう。

※本記事は個人の経験と考えに基づく情報提供であり、特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。税制やNISA等の制度は改正される可能性があるため、必ず最新の公式情報をご確認ください。投資は元本割れの可能性があり、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

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